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相応の値 山高龍雲 20歳の時に入った仏像彫刻の道を、77歳のいまもなお倦まず弛まず 歩み続けている大本山須磨寺 大仏師・山高龍雲氏。 90歳までの彫刻の材料を確保している。 昔の職人は具体的なことは何も教えてくれません。 自分の技術は人には見せないんですよ。 父も、兄も周りのお弟子さんもそうでした。 ですから、夜になって工房の灯が消えてから こっそり父や兄の彫り方を見る。 まさに盗む、そういう世界です。 ただ、運がよかったのは、当時業界がとても忙しかったことです。 仕事がどんどん入ってくるので、 私も早くから台座や光背を彫らせてもらえました。 ところが、肝心の仏像となると、父の仕事を真似て、 一所懸命彫り上げた作品を見せても、 ひと言、「うん」だけで良いとも悪いとも言ってくれず、 そのまま箱に仕舞って置いて、 いっぱいになると全部燃やしてしまうんですよ。 まあ、一応形になっているものですから、 仏壇屋さんの目に留まると「売らせてほしい」 と言ってくれるのですが、父は絶対に応じませんでした。 「わしが彫ったものは十万円。 おまえが彫ったものは一万円で売れる。 それを許したら、おまえの彫刻は一万円で通ってしまう。 せめて相応の値がつくまで売るんじゃない」と。 |
2025.07.17 |
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