一語履歴
私が「できない」と言ってしまえば終わり 伊藤裕子(ぺんぎん村水泳教室) 障がいや発達特性への理解が乏しかった30数年前から、 そうした子供を多く受け入れてきた「ぺんぎん村水泳教室」 約35年、子供たちと向き合ってきて、人を育てるとは 子供に教えてもらうこと、育ててもらうことだなと感じます。 でも、指導者がチャレンジしなかったら 絶対に子供の可能性は引き出せない、人は育てられないですね。 昔、ぺんぎん村に全身硬直の女の子が連れてこられました。 少しだけ水を張ったお風呂で遊んでいて、 ご両親が目を離した僅かな隙に突っ伏して溺れてしまった。 急いで病院に運んだけれど、その日以来、両腕は曲がったまま伸びず、 両足は伸び切ったまま、表情も全くなくなったんだそうです。 常に赤ちゃんが乗るようなバギーに乗せられている彼女を見た時、 どことなく緊張している印象を受けました。 だから、水の中なら何か起きるかもしれないと思いました。 そこで、お母さんから彼女が好きな音楽を聞き出しました。 そしてバギーから彼女の体を解放し、抱っこして水に入り、 耳元でその歌を優しく歌いながら、体をほぐしていったんです。 しばらくしたら、何とその子の腕がゆっくり伸び始めました。 次に、肘に溜まっていた綿埃りがポンッと水に浮かんできた。 数分後、彼女が不意に微笑んで、最後は声を出して笑い始めたんですよ。 あっ、心と心がお互いに繋がったな、 この人の腕の中なら安心だって、委ねてくれたんだなって思いました。 ご両親が泣きながらプールサイドに駆け寄ってきて、喜んでくれましたね。 水の中から喜びが一つ、二つと連鎖していく。 私が「できない」と言ってしまえば終わりなんです。 危険と言われても、最大限の注意を払って可能性に賭けたい。 ぺんぎん村の活動は、社会への種蒔きだとも思っています。 障がいがある子がイキイキと頑張る姿を見せることは、 家族や友人、その子を支える人たちの心に 可能性を信じる心の種を蒔くことになる。 その種が、社会の中で花を咲かせてくれたら、 またそこから、思いやりの深い社会が広がることを願っています。 |
2026.05.19 |
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